疑問解決!バイオプラQ&A

バイオプラスチックは生分解性でも土に埋めれば大丈夫?本当のところ

Tags: バイオプラスチック, 生分解性, 分解, 環境負荷, コンポスト, 廃棄物処理

【質問】

バイオプラスチックは「生分解性」と書いてあれば、自然環境や土の中で勝手に分解されるのでしょうか。

【回答】

生分解性バイオプラスチックは、特定の環境条件下で微生物の働きによって分解される性質を持つプラスチックです。しかし、「生分解性」という表示があるからといって、あらゆる自然環境(例えば、土壌や海洋、河川など)で容易かつ速やかに分解されるわけではありません。この点に、多くの誤解が生じている場合があります。

生分解の速度や程度は、プラスチックの種類、形状、そして何よりも分解が起こる環境の温度、湿度、酸素の有無、微生物の種類や量といった様々な要因に大きく左右されます。多くの生分解性プラスチックが設計されているのは、特定の管理された条件下での分解です。代表的な例としては、工業用コンポスト施設があります。

工業用コンポスト施設では、温度や湿度が厳密に管理され、微生物の活動が最大化されるように設計されています。このような環境下であれば、比較的短期間で水と二酸化炭素(好気性の場合)やメタン(嫌気性の場合)、そして無機物に分解されます。

一方で、自然環境、例えば一般的な土壌や海洋、河川といった場所では、工業用コンポスト施設のような理想的な条件はまず存在しません。そのため、生分解性プラスチックであっても、これらの自然環境下では分解が非常に遅かったり、ほとんど進まなかったりする可能性があります。製品によっては、数十年間、あるいはそれ以上の時間をかけても、完全に分解されないことも考えられます。

したがって、「生分解性」という表示は、「自然環境で容易に分解され、放置しても問題ない」という意味ではないことを理解することが重要です。不適切な場所に投棄された場合、見た目はプラスチックのままで環境中に長期間残り続け、生態系に影響を与える可能性も否定できません。

バイオプラスチックを含む全ての廃棄物は、各自治体の定める分別ルールや処理方法に従って適切に処理することが原則です。製品の表示や自治体のガイドラインを確認し、資源回収、工業用コンポスト、焼却など、その製品に最も適した方法で処分するようにしてください。

生分解性という特性は、適切な処理ルートに乗った際にその価値を発揮するものであり、ポイ捨てを正当化するものではない点にご留意いただければと存じます。バイオプラスチックを環境負荷低減に繋げるためには、製品の適切な選択とその後の責任ある処理が不可欠です。