バイオプラスチック製品は保管方法で劣化する?知っておきたい取り扱い上の注意点
【質問】
バイオプラスチック製品は、従来のプラスチック製品とは異なる保管方法が必要なのでしょうか。適切に保管しないと、使用する前に劣化が進んでしまうことはありますか。
【回答】
バイオプラスチック製品は、その種類によって保管方法や取り扱いに注意が必要な場合があります。特に、生分解性プラスチックにおいては、適切な保管が製品の品質維持に大きく関わってきます。
この疑問は、従来のプラスチックが比較的安定した性質を持つことから生まれるものと思われます。バイオプラスチックには、原料が植物などの再生可能な資源であるバイオマス由来プラスチックと、微生物の働きによって自然界で水と二酸化炭素などに分解される生分解性プラスチックがあります。全てのバイオプラスチックが生分解性を持つわけではありません。
生分解性プラスチックは、特定の環境条件下(温度、湿度、微生物の存在など)で分解が進むように設計されています。この分解のメカニズムは、微生物や酵素の作用だけでなく、加水分解(水との化学反応による分解)や酸化分解(酸素との化学反応による分解)によっても開始または促進されることがあります。熱や紫外線などもこれらの分解反応を促進する要因となります。
したがって、生分解性プラスチック製品を高温多湿な場所や直射日光が当たる場所に長期間保管すると、本来想定されていない環境下であっても、製品の劣化(強度や形状の変化など)が早まる可能性があります。これは、製品が使用される前にその性能を損なってしまったり、使用後の適切な分解を妨げたりすることに繋がる可能性があります。
製品のメーカーは、そのバイオプラスチック製品の種類や特性に応じて、最適な保管条件(温度、湿度、直射日光の回避など)を推奨しています。製品のパッケージや添付文書に記載されている情報を確認し、それに従った保管をすることが非常に重要です。これは、製品を最適な状態で使用するためだけでなく、製品が意図された環境負荷低減効果を発揮するためにも必要なステップです。
一方、バイオマス由来プラスチックであっても、生分解性を持たない(非生分解性の)製品は、従来の石油由来プラスチックと同様の耐久性を持つことが一般的です。例えば、サトウキビ由来のポリエチレン(PE)などは、石油由来PEと化学構造が同じであり、生分解性はありません。このような製品の場合、保管方法も従来のプラスチック製品と大きく変わらないことが多いですが、製品によっては個別の注意点がある可能性もあるため、やはりメーカーの指示を確認することが推奨されます。
結論として、特に生分解性バイオプラスチック製品は、その特性上、保管環境によって劣化が進む可能性があります。製品の品質を保ち、環境負荷低減という目的を達成するためにも、メーカーが示す保管条件や取り扱い上の注意点を遵守することが求められます。