疑問解決!バイオプラQ&A

バイオプラスチックは安全?食品容器や分解生成物への懸念

Tags: バイオプラスチック, 安全性, 食品接触, 生分解性, 認証

バイオプラスチックの普及が進むにつれて、その安全性に関する疑問も聞かれるようになっています。特に、食品に直接触れる容器としての適合性や、分解されて環境中に放出される物質について懸念をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、バイオプラスチックの安全性について、よくある疑問にお答えします。

【質問】バイオプラスチックは使用しても安全ですか?特に食品容器や分解後の物質について教えてください。

バイオプラスチック製品の安全性について、使用する用途や素材の種類によって考慮すべき点は異なります。ここでは、食品容器としての安全性と、生分解性バイオプラスチックが分解された際の生成物の安全性に焦点を当てて解説します。

【回答】

バイオプラスチック全体の安全性に関する考え方

「バイオプラスチック」は、植物などの再生可能な資源を原料の一部または全部に使用する「バイオマスプラスチック」と、微生物の働きによって最終的に水や二酸化炭素などに分解される性質を持つ「生分解性プラスチック」を含む、総称的な呼び方です。これらのプラスチックの安全性は、原料がバイオ由来であるか、あるいは生分解性を持つかといった性質だけで一概に決まるものではなく、素材の種類、製造プロセス、使用される添加剤など、従来のプラスチックと同様に様々な要因に依存します。

そのため、特定のバイオプラスチック製品が安全であるかどうかは、その製品がどのような用途で使用されるかを踏まえ、関連する法規制や基準を満たしているかを確認することが重要になります。

食品接触材としての安全性

食品に直接触れる容器や包装材料には、食品衛生法などの厳しい規制が適用されます。これは、素材から食品へ有害な物質が溶出することを防ぎ、人の健康を損なうリスクを排除するためです。

バイオプラスチック製の食品容器についても、これらの法規制の対象となります。製品に使用されているバイオプラスチック素材や添加剤が、食品衛生法の定める基準や規格に適合していることが求められます。例えば、ポリ乳酸(PLA)や一部のPHA(ポリヒドロキシアルカノエート)などのバイオプラスチックは、食品接触用途での使用が広く認められており、製造・販売にあたっては、これらの基準を満たしていることの確認が不可欠です。

食品衛生法以外にも、業界団体などが自主的な規格を設けて安全性を確保している場合があります。製品に表示されている認証マークなどを確認することも、安全な製品を選ぶ上で役立つ情報となります。

したがって、食品容器として適切に製造され、法規制や業界基準を満たしているバイオプラスチック製品は、安全に使用できると考えられています。重要なのは、製品がこれらの基準に適合していることを確認することです。

生分解性バイオプラスチックが分解された際の生成物の安全性

生分解性バイオプラスチックが分解されると、最終的には水、二酸化炭素、無機物、そして微生物の働きによって生成されるバイオマスとなります。適切に設計・製造された生分解性プラスチックは、認証規格(例:コンポスト性に関する国際規格ISO 18606など)に定められた条件(温度、湿度、微生物の存在など)の下で完全に分解され、環境に有害な物質を残さないことが確認されています。

しかし、生分解が起こる速度や中間生成物は、素材の種類、製品の形状、そして最も重要な分解環境(例えば、産業用コンポスト施設、家庭用コンポスト、土壌、淡水、海水など)によって大きく異なります。

例えば、産業用コンポスト施設のような高温・高湿で微生物が豊富な環境で分解されることを想定して設計された製品が、通常の自然環境(土壌や水中)に廃棄された場合、分解が非常に遅くなる、あるいは完全に分解されずに微細なプラスチック片(マイクロプラスチック)として環境中に残存する可能性も指摘されています。

製品に「生分解性」と表示されていても、どのような環境で、どのくらいの期間で分解されるのか、そしてその生成物は安全なのか、といった点については、製品に付された情報や認証マークを詳しく確認し、推奨される適切な方法で処理することが重要です。認証規格は、特定の環境下での分解性や分解生成物の環境安全性(植物毒性試験など)を評価するものです。

まとめ

バイオプラスチックの安全性は、従来のプラスチックと同様に、素材の種類や製造プロセス、用途、そして適切な処理方法に依存します。食品容器として使用される製品は食品衛生法などの規制に適合していることが求められ、基準を満たした製品は安全に使用できると考えられます。生分解性バイオプラスチックの分解生成物についても、認証規格に基づき適切に管理された条件下での分解であれば環境安全性は確認されていますが、不適切な環境下では想定通りに分解されないリスクも存在します。

製品を選ぶ際は、どのような用途に適しているか、関連する法規制や認証マークに適合しているかを確認し、使用後は適切な分別・処理を行うことが、安全性と環境負荷低減の両面から重要になります。