疑問解決!バイオプラQ&A

公共調達におけるバイオプラスチック製品の選定基準と留意点

Tags: 公共調達, バイオプラスチック, 環境基準, 認証制度, ライフサイクルアセスメント

公共調達における製品選定においては、環境負荷低減の観点からバイオプラスチック製品への関心が高まっています。しかし、一口にバイオプラスチックと言っても種類は多様であり、その環境性能や適切な取り扱い方法について、判断が難しい場面が多くあります。特に、限られた情報の中で、真に環境負荷低減に貢献する製品を選び出すことは、公共部門の担当者にとって重要な課題の一つです。

【質問】公共調達でバイオプラスチック製品を選ぶ際、どのような点に注意すべきでしょうか。

【回答】

公共調達においてバイオプラスチック製品を選定する際には、多角的な視点から製品を評価することが重要です。単に「バイオプラスチック」という表示があることだけでなく、その具体的な性質、環境性能、そして製品のライフサイクル全体を考慮に入れる必要があります。

まず、製品がどのようなバイオプラスチックを使用しているかを確認することが第一歩です。バイオプラスチックには、植物などのバイオマスを原料とする「バイオマスプラスチック」と、微生物によって分解される「生分解性プラスチック」があり、これらは必ずしも一致しません。バイオマスプラスチックの中には生分解性を持たないものも多く存在します。公共調達の目的(例:使い捨て製品か、耐久性が必要か、回収システムがあるか)に応じて、どちらの性質が必要なのかを明確にすることが肝要です。

次に、第三者機関による認証制度の活用を推奨します。例えば、バイオマスの含有率を示す「バイオマスプラマーク」や、特定の条件下での生分解性を示す「OK Compost」などの認証マークは、製品の表示の根拠を確認する上で有効な手がかりとなります。ただし、これらの認証マークが付与されている場合でも、認証基準やその適用範囲を理解することが必要です。例えば、「OK Compost」は産業用コンポスト施設での分解性を示すものであり、自然環境下や家庭用コンポストでの分解を保証するものではない点に留意が必要です。

製品の環境負荷全体を評価するためには、ライフサイクルアセスメント(LCA)の視点を取り入れることが望ましいです。LCAでは、原料の調達から製造、輸送、使用、そして最終処分に至るまでの全段階で発生する環境負荷(CO2排出量、エネルギー消費、水資源利用など)を定量的に評価します。バイオプラスチックが必ずしも従来のプラスチックより全ての面で環境負荷が低いとは限らないため、LCAに基づいた情報提供を求めることは、より客観的な判断に繋がります。

また、日本のグリーン購入法における特定調達品目の判断基準も参考になります。既に一部の使い捨て製品(容器包装、カトラリーなど)では、バイオマスプラスチックの配合率に関する判断基準が定められています。これらの基準を満たしているかどうかも、製品選定の重要な指標となります。

加えて、コスト、供給安定性、そして製品の性能(耐久性、耐熱性など)も、公共調達においては当然ながら考慮すべき現実的な要素です。代替候補となる製品と比較検討し、要求される仕様を満たすかを確認する必要があります。

最後に、使用済み製品の適切な処分方法に関する確認も不可欠です。生分解性プラスチックを選定した場合でも、多くの製品は特定の条件下(温度、湿度、微生物活性など)でなければ十分に分解されません。製品が意図された処分方法(例:産業用コンポスト、特定のバイオガス化施設)に対応しているか、またそのための回収・処理システムが地域に存在するかを確認することは、製品が環境負荷低減に貢献するために非常に重要です。単に生分解性と表示されているだけで、既存の焼却や埋め立て以外の適切な処理経路が存在しない場合、期待される環境効果が得られない可能性があるためです。

これらの点を総合的に評価することで、公共調達において、表示やイメージに惑わされることなく、真に環境負荷低減に貢献するバイオプラスチック製品を選定することが可能になります。