疑問解決!バイオプラQ&A

非生分解性バイオマスプラスチックの使い終わり:従来のプラスチックと同じ扱いで良いか?

Tags: バイオプラスチック, 非生分解性, バイオマスプラスチック, リサイクル, 処分, 環境負荷

【質問】非生分解性のバイオプラスチック製品は、使い終わったらどのように扱えば良いですか?

環境配慮型素材としてバイオプラスチックに注目が集まる中で、「生分解性」ではないバイオプラスチック製品も多く存在します。これらの製品を使い終わった後、どのように処分するのが適切なのか疑問を持つ方がいらっしゃるかもしれません。従来のプラスチックと同じように扱って良いのか、あるいは何か特別な配慮が必要なのか、その基本的な考え方についてご説明します。

【回答】

非生分解性のバイオプラスチック製品は、化学構造的に分解されないため、使い終わった後の性質は従来の石油由来プラスチックとほぼ同じです。したがって、基本的に使い終わった際は、お住まいの自治体や事業所のルールに従い、従来のプラスチックと同様に適切に分別・処分する必要があります。

生分解性バイオプラスチックのように特定の環境下で微生物によって分解されることを期待するものではないため、「コンポストに入れる」「自然環境に放置する」といった対応は適切ではありません。地域の分別ルールで「プラスチックごみ」として分別が定められている場合は、その区分に従って排出してください。

【質問】非生分解性のバイオマスプラスチックはリサイクルできますか?リサイクルの際の課題はありますか?

非生分解性バイオマスプラスチックは、石油由来プラスチックと同様に分解されない性質を持つとのことですが、これらの素材はリサイクルできるのでしょうか。また、リサイクルが可能だとして、何か特有の課題は存在するのでしょうか。

【回答】

非生分解性のバイオマスプラスチックは、適切な条件下であればリサイクルが可能です。化学構造によっては、従来の石油由来プラスチックと混合してリサイクルされる場合や、単独でリサイクルされる場合があります。

しかし、リサイクルの際にはいくつかの課題があります。まず、消費者や排出事業者が、その製品が「非生分解性バイオマスプラスチック」であることを正確に認識し、適切に分別することが重要です。現在のリサイクルシステムでは、異なる種類のプラスチックが混ざると、品質の低下やリサイクル設備の故障につながる可能性があります。特に、特定の種類のバイオマスプラスチックが従来のプラスチックのリサイクルラインに混入した場合、課題となるケースが指摘されています。

このため、製品に表示されている素材情報や、自治体・回収事業者の分別指示に従うことが非常に大切です。リサイクル事業者の側でも、バイオマスプラスチックを含む多様な素材に対応できる技術や設備への投資が求められています。

【質問】従来のプラスチックと一緒に捨てても問題ないのでしょうか?分別は必要ですか?

非生分解性バイオマスプラスチックは従来のプラスチックと同じように扱えると聞きましたが、具体的に家庭や事業所から排出する際に、従来のプラスチックと混ぜて捨てても良いのでしょうか?それとも特別な分別が必要なのでしょうか?

【回答】

繰り返しになりますが、非生分解性のバイオマスプラスチックは、分解されないという点では従来の石油由来プラスチックと同じです。したがって、お住まいの地域や排出する場所のプラスチックごみの分別ルールに従って排出することが基本となります。

多くの自治体では、プラスチック製の容器包装や製品をまとめて「プラスチックごみ」として回収しています。このようなルールが適用されている場合、非生分解性のバイオマスプラスチック製品も、表示や素材が許容される範囲であれば、他のプラスチックごみと一緒に排出できることが一般的です。

ただし、特定の素材や形状のプラスチックについて別途分別ルールが定められている場合もあります。また、上述のように、リサイクル工程での混入を防ぐため、一部の事業者や自治体が特定のバイオマスプラスチックについて異なる分別を求めている可能性もゼロではありません。

最も確実なのは、製品の表示(素材名や識別マークなど)を確認した上で、お住まいの自治体や利用している回収サービスの分別ルールを事前に確認することです。不明な点は、自治体の担当窓口などに問い合わせることをお勧めします。

【質問】非生分解性なのに「バイオ」と付くのはなぜですか? 環境負荷低減にどう貢献するのですか?

生分解しないのであれば、従来の石油由来プラスチックと何が違うのか、なぜ「バイオ」と名が付くのか、その環境的な意味は何なのか、という疑問が生じます。これらの素材がどのように環境負荷の低減に貢献する可能性を持つのか、その視点を教えてください。

【回答】

非生分解性のバイオマスプラスチックに「バイオ」と付くのは、原料の一部または全てが植物などの再生可能なバイオマス(生物資源)由来であるためです。これは、製品が「生分解するかどうか」ではなく、「何から作られているか」という原料の起源に焦点を当てた区分です。

これらの素材が環境負荷低減に貢献する可能性は、主に以下の点にあります。

  1. カーボンニュートラルの可能性: 植物は成長過程で大気中のCO2を吸収します。製品を焼却処分する際にCO2を排出しますが、これは植物が吸収したCO2の量と相殺されると考えることができるため、ライフサイクル全体で見た場合のCO2排出量を抑制する「カーボンニュートラル」に貢献する可能性が指摘されています。ただし、原料栽培、製造、輸送などのプロセス全体でのエネルギー消費やCO2排出も考慮したライフサイクルアセスメント(LCA)による評価が重要です。
  2. 化石資源への依存低減: 石油などの有限な化石資源ではなく、再生可能なバイオマスを原料として利用することで、化石資源への依存度を減らすことができます。

つまり、非生分解性のバイオマスプラスチックは、使い終わった後の分解性ではなく、原料の由来という点で従来のプラスチックと異なり、ライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減や、化石資源枯渇への対策という視点から環境負荷低減に貢献する可能性を持つ素材であると言えます。生分解性だけが環境配慮の基準ではなく、原料の起源も重要な要素であることを理解することが大切です。